より良い音を求めてネック・指板の取付

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ネック・指板の加工と取付

キットから製作する時でも一番難しい作業と思います

演奏のし易さに大きく影響しますし、音にも大きく影響します。

bgheig2.jpg (3279 バイト) ネックの標準的な寸法

左の写真をクリックして大きくしてご覧下さい。

 ネックをボディーに固定する時は、ここにある4っの寸法を全て満足させるようにネックの肩部の加工と胴の箱溝堀りが必要です。

 表板の端からナットまで、130mmは、胴に彫る箱溝の深さで決まります。
ネックの付け根の高さ、6mmは、ネックの肩部の高さで決まります。
ネックの端の高さ、21mmと指板の延長線の駒の位置の高さ、27mmは、ネックが裏板のボタン部に取りつく位置の削り角度で決まります。

参考寸法 :表板の端からナットまでの長さ(mm)

Violin 130
Viola 148(サイズにより異なる)
Cello 280

次に、これらの決め方、確認方法などを説明します。

heel1.jpg (3541 バイト) ネックの肩部の加工

左の写真をクリックして大きくしてご覧下さい。

 左の写真は、キットの部品では有りませんが、キットの場合は肩部の側面は既に台形に加工されています。左の写真の台形の線の部分に削られています。

a--表板の端から指板までの間隔(6mm)
b--表板の厚さ
c--ネック部の側板の幅
d--裏板の厚さ

肩部の台形の部分にa,b,c,d の平行線を引きます。

肩部の底は、d の部分から下を切断します。(角度の調節のため僅かの取り代を残しておく)

  参考寸法 (mm)
a b c d
Violin 6 4 30 4.5
Viola 7-8 4 36-38 4.5
Cello 22 5 120 5.5
grooven1.jpg (4938 バイト) 胴の箱溝堀り
 ネックの中心線と胴の中心線を合わせて、箱溝を掘る位置に b の幅の切り込みを入れ、表板の縁の出っ張りを切り取り溝の入り口を作ります。

 つぎに、ネックの肩部の台形部を、今切り取った溝に入れて、正確にネックの肩部の幅を側板に描きます。その線に沿って、ノミで箱溝を掘り込んで行きます。

 箱溝の深さは、表板側で側板から約5mm程度、裏板のボタン部では、もう少し大きくなると思います。

 箱溝の幅が広くなり過ぎないよう注意が必要です。

nkhigh1.jpg (4336 バイト) ネックの高さ(角度)の決め方

 指板の端のナットから駒の位置まで届く真直ぐな棒を用意して、その先端に、表板に垂直に降りる長さ27mmの木片を接着した治具を作ります。(ネックアングルゲージとして市販されています)

 ネックを箱溝に押し込んだ状態で、この治具を左の写真のようにネックの中央に載せて、駒の位置で正しく27mmが得られるように、ネックの肩部の底面の角度を調整します。

  参考寸法 :駒の位置の高さ (mm)
Violin 26.5-27
Viola 32-34
Cello 79-80

参考寸法 :ネック角度

Violin 85度
Viola 87度
Cello 83度
nkcheck1.jpg (6255 バイト) ネックの曲がりもチェックします

 ネックが胴の中心に正しく向かっているかどうかも、チェックしながら箱溝を堀進んで行きます。

 箱溝に対してネックが緩い場合は、ネックの高さ6mmをもう少し下げるように、底面を削って台形部を押し込みます。

 寸法や曲がりが十分確認できたら、このページのトップの写真のように、箱溝と裏板のボタン部に良質の強いニカワをたっぷり付けて、ネックをすばやく押し込んで接着します。当木をあてがいクランプで固定し、はみ出したニカワを奇麗にお湯を付けた筆でふき取ります。

 これで、一番難しいネックの仕込みが完了です。


順ゾリ、逆ゾリのものは、弾き難く、ビビリが出たりするため、交換あるいは修正が必要。

ストレートは弾きやすいが、更に張りのある音を求めるには、コーニッシュを付けて調節された物が良い。
指板の寸法

 指板は演奏のし易さに直接影響しますので、大変に重要な部品です。また、指板の表面はは長い間演奏していると弦の当たる部分だけ凹んでしまいますので、交換が必要となります。そこで、指板をネックに接着する時は後で外し易いように薄いニカワで接着しておく必要があります。

 普通の指板はナットからその反対の端まで一直線(ストレート)に作られていますが、より弦の高さを低くしても、ビビリの無い力強い演奏を可能とさせるために、ナットからネックのヒールの下端までに、指板の上面になだらかな凹みを付けて削る方法がとられます。(コーニッシュを付ける)
 コーニッシュはスクレーパーで削って仕上げます。

 指板の上面の丸みも演奏のし易さに大きく影響します。次にそれらの参考寸法を述べます。

参考寸法 :指板の幅(mm)

ナット部 ネック端部 指板端部
Violin 23.5-24.5 32.5 42.5
Viola 25.4 35 47
Cello 32 47.5 63.5

参考寸法 :指板の厚さ(mm)

ナット部 駒側の端面の見かけの厚さ (実際の厚さ)
Violin 7 11 (5)
Viola 8 12 (5.5)
Cello 12.5 20.5 (7.5)

参考寸法 :指板上面の丸みと凹み(mm)

指板上面の丸み 指板上面の凹み(コーニッシュ)
Violin 41R G 0.75 E 0.5
Viola 37R C 1.0 A 0.75
Cello 60R* C 1.2 A 1.0
   
   
  (*)チェロの場合、C線部はRではなく、ナット部で10mm,指板の端で23mを30度の角度で平面に仕上げます。
 

うまく行きましたか?

 

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工房ミネハラ
Mineo Harada

Updated:2001/7/6