ギターボディー 振動の力学 (4)

 第4章 弦の振動波形を見る

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 前章で は 音の波形 に含まれる 周波数成分 の一部が 消えてしまう  と言う、ちょっと謎めいた現象を説明しました。

ここまでの説明でご覧に入れた下の 音の波形  は、こちらの機材を使用して マイクによって 空気振動 の音の拾ったものでした。
 

お聴きください


空気振動音の波形ではなく 弦の振動の様子を見てみましょう  何か、ヒントが分かるはずです。

下の音の波形は、

こちらでご紹介しているFishman Neo-D シングルコイルピックアップ(マグネティックピックアップ)を使用して、弦の振動のみを拾ったものを、

Adobie Audition 2.0 で音の波形として表示したものです。波形の画像をクリックすると、原寸大でご覧いただけます。

をクリックすると、お聴き頂けます。

 

 
 
 

 マイク で拾った音と、マグネティックピックアップ で拾った音を較べてみましょう 

 マイク で拾った音  A お聴きください

 



マグネティックピックアップ で拾った音 B お聴きください

 



  A B を比較してみて見ましょう。

マグネティックピックアップ で拾った音 B には、音の強さが  特定の音  だけが大きくなる・・・と言う現象は見られない。

マグネティックピックアップ で拾った音 B にも、音の持続性(余韻の長さ) ・・・に違いが有る。
 

ことが分かるとおもいます。

音の強さが  特定の音  だけが大きくなる・・・と言う現象は見られない ・・・と言う事は、マグネティックピックアップ 弦の振動 のみを拾っているので、当然のことと理解出来ますが、

 

音の持続性(余韻の長さ) ・・・に違いが有る ・・・と言う現象は、何となく理解出来ません。

 

そこで、前章と同じように、弦の振動波形 を 周波数分析 して調べて見ましょう。


弦の振動波形 についても、周波数分析をしてみましょう  空気振動とおなじような現象があるかも。

始めに、この をご覧下さい。

 

このビデオ映像は、音楽編集のソフト Adobie Audition 2.0 で、 #5  弦で、余韻の音が極端に変わってしまう  E3  から  A3  の6っ音を、連続再生した時の、音の波形を 周波数分析 したものです。

小さな映像ですので、画面表示の大きさを、200% か、全画面表示 にしてご覧いただくと、少しボケますが、動きがご覧いただけるとおもいます。

 

二つのウインドウが開いているとおもいますが、左上のウインドウは、音の波形 を再生している様子。 右下のウインドウは、その音に含まれている 周波数成分 を示したものです。

 

始めの、 E3  と  F3  と  F#3  の三つ音のは、特に異常はないようです。余韻の音 も綺麗に響いていると思います。

 

後半の、 G3  と  G#3  と  A3  の三つ音のは、、余韻の辺りになると、音が詰まった感じにな っている事が分かります。

 

特に、音が詰まった感じ になっている  G#3  と 余韻の音 も綺麗に響いている  E3    この 二つの音の 周波数成分 を、目で確認してみましょう 

 

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始めは、 G#3  の音の、 ピッキング直後  の 周波数成分 です。 これが、下の画像です。

 G#3  の音の  基本音の周波数成分  にピークが現れています。 周波数成分 には、 倍音 も沢山現れており、瞬間的には、強い音 である事が良く分かります。

 

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次は、 G#3  の音の、 余韻部分  の 周波数成分 です。 これが、下の画像です。

 G#3  の音の  基本音の周波数成分  が全く消えてしまっています。

 

弦のみの振動なのに、下の図のように、弦の振動から  基本音の周波数成分  が全く消えてしまう・・・   これも、ちょっと・・・問題  です。

 

 基本音  が無くなってしまっているので、 音が詰まった・・・余韻の無い音  に聴こえて来るとおもいます。  G#3  の音には、何らかの問題が有ります。


さて、余韻 が良く響いている  E3  の音を見て見ましょう。

 E3  の音の、 ピッキング直後  の 周波数成分 です。 これが、下の画像です。

 E3  の音の  基本音の周波数成分  にピークが現れています。 周波数成分 には、 倍音 も沢山現れており、 綺麗に響く良い音 である事が良く分かります。

 

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次は、 E3  の音の、 余韻部分  の 周波数成分 です。 これが、下の画像です。

 C4  の音は  基本音の周波数成分  が消えてしまう事はありません。

周波数成分 には、 2倍音以上の成分も残っており、何時までも、綺麗に響く良い音 である事が良く分かります。

 C4  の音には、全く問題点は感じられません。


以上のことを念頭に、この を、もう一度ご覧んになって下さい。 ビデオ映像でも、良く分かるとおもいますし、

 

マグネティックピックアップ で拾った音 B を、下の音の波形 を見ながらお聴ききいただくと、更に良く分かるとおもいます。


 


 マグネティックピックアップ で拾った音 B ( 弦のみの振動 ) は、音の強さが  特定の音  だけが大きくなる・・・と言う現象は見られない・・・が

特定の音  に音の持続性(余韻の長さ) ・・・が短くなってしまう音 が有ることが分かりました。

この、特定の音 は、マイクによって拾った 空気振動の音 の場合と同じ音に現れている。
 

 

と言う、奇妙な現象が有ることが分かりました。


この続きは、続き(5) をご覧下さい

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ギターボディー 振動の力学 続き(5)

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Updated:2007/2/1