チェロの力学

第5章 ウルフキラー (Wolfkiller) の振動計測 

★2本のチェロとウルフキラー

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ウルフキラーの振動の模型

 

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前章までで、ウルフトーン発生メカニズム、それを低減する対策法を考え てきました。 ここまでは、2000年当時に掲載したものです。

ここからは、実際のチェロでウルフキラーの振動の様子を計測した結果を掲載するものです。(2008年)

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チェロ と ウルフキラー

図23

ウルフキラーは、通常G線の駒とテールピースの間に取り付けます。 こちらで説明したようにウルフキラーの重さや取付位置で、その振動の振動数は変わります。

この章では、下の写真 (写真をクリック) の2種類のウルフキラーを、違った2本のチェロに取り付けて、その振動の様子を実際に計測した結果を掲載します。

実験に使用したチェロは、こちらでご紹介した1986年製 Kreuzinger と、2008年 工房ミネハラ新作のチェロ "Hiroki" の2本を使用しました。

Kreuzinger
"Hiroki"

計測の条件を合わせるために、何れのチェロも、Boxwood TailpieceCarbon-Fiber Cello SpikeCarbonfiber Tailprope を使用しています。

Boxwood Tailpiece については、Kreuzinger (78.5gr) と重量を合わせるために、"Hiroki" のテールピースの裏側の肉を削り落して、重量を軽くしてあります。


"Hiroki" のテールピース 手前 (79gr)

弦は、2本のチェロとも、こちらでご紹介しているを使用しています。 振動解析に必要な弦の張力 (Tension) や、単位長重量は表3のとおりです。

表3

2本のチェロ、Kreuzinger  と "Hiroki" ウルフトーンは、下のような音に表れています。

  ウルフノート音程 周波数(Hz)
Kreuzinger f-f# 付近 ≒ 180
"Hiroki" e-f 付近 ≒ 170

図2
通常のチェロでは、ウルフトーンは左図の 赤い色の濃い音 付近に表れていると思います。

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ウルフキラーの振動計測条件

さて、この2本のチェロ、Kreuzinger  と "Hiroki" ウルフキラー (Wolfkiller) を 図25に示す位置に取り付けたときに、その振動数がどのようになるかを、こちらでご紹介した 振動数の計算方法で計算してみました。

ウルフキラー (Wolfkiller) の取付位置は、便宜上 駒からウルフキラーの端までの距離 ( WK位置 l (mm) ) を使用して実験・計測を行いました。

図25

 この2種類のウルフキラーを、2本のチェロ Kreuzinger  と "Hiroki" に取り付けた時のウルフキラーの振動数を計算で求めた結果を 表4、図25 に示します。

ウルフキラー (Wolfkiller) の取付位置  ( WK位置 l (mm) ) は、 ウルフノート音程をカバーできる範囲に設定してあります。

図2 ウルフキラー (Wolfkiller) の取付位置 と 振動数計算値

表4 ウルフキラーの振動計測の範囲

Wolfkiller Kreuzinger "Hiroki"
Long
Short

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次は、ウルフキラー (Wolfkiller) の振動を、どのような方法で計測するかをご紹介します。


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Mineo Harada

Updated:2008/5/23